YOMU to KAKU マガジンvol.05 2025年2月15日
「作品にきらめきを!パール絵具の特徴と使い方」
絵画全体が、キラキラと輝く作品を描いてみませんか?
そんな時に、試して欲しいのが
「パール系絵具」
こんにちは、TAKUYA YONEZAWAです。
今回のYOMUtoKAKUマガジンでは、パール系絵具の魅力や使い方をご紹介します!
ついに来ました、パールカラー!
ぼくも大好きで、かなりの頻度で使用している絵具たちです。
それだけに、気合が入っております!
絵具の特徴や使い方のコツ、オリジナルパールカラーの作り方まで、作例や図をたっぷり使って解説していきますので、使うところを想像しながら読んでみてください!
1. パール絵具とは
名前に特徴あり!
はじめにパール系の絵具とは、「キラキラする粒子」が入っている絵具のことをいいます。名前には“パール”、”イリデッセント”、”メタリック”、”金属名”などが入っていることが多いので、これらの言葉を目印に、探してみてください✨
特徴は、美しいきらめき
パール系の特徴は、なんといっても美しいきらめき!
絵具を塗ると、光を反射して美しい輝きを放ち、作品に上品なきらめきを与えることができます。この光沢を見るだけでテンションが高まりますね!
2. パール絵具の種類
そんなパール絵具ですが、今は各メーカーが販売していて、種類がとってもたくさんあります。絵具によって粒子の大きさやきらめき、パールの色などが少しずつ違うので、ここからは、パール絵具を特徴ごとに5つに分けて紹介します。
実際に使ってみた感想をもとに解説したので、絵具選びの参考にしていただけたら嬉しいです🎨
①通常パール
粒子が細かく、通常の絵具とも混ぜて使いやすい。
いい意味で「いつも」のパール絵具です。
②カラーパール
「赤」や「緑」などの色がついているパール絵具もあります。「色の鮮やかさ」に加えて光沢や輝きが加わるので、リッチな仕上がりになります。作品に華やかさを加えたい時に、使ってみると効果的かも!?
ちなみに・・・
ぼくが普段描いている「絵具の宝石」シリーズに使っているパールカラーも、上の2種類を使用することが多いです。描いているモチーフが「宝石」ということもあり、輝きを表現したくて、今はパール絵具を積極的に取り入れるようになりました💎
③きらめきの強いパール絵具
絵具の粒子がキラリと輝く、強い光沢を感じられる絵具です。注目して欲しい部分などにピンポイントで使うと、グッと作品世界に惹き込ませることができるかもしれません✨
④ラメカラー
特大のパール粒子が含まれ、きらめきが際立つタイプの絵具。粒がとにかく大きくて、まさに「ラメ」のきらめき。子供心をくすぐられる絵具です!
アクセントについて
パール絵具は、アクセントとして使用することで作品にメリハリをつけるのにとても効果的です!
▲の作品のように、一部分だけパールを施すことによって、小さな面積ながら見る人の目を惹きつける、魅力的な画面を作ることができます✨
⑤色が変わるパールカラー(偏光パール)
角度によって色が変わって見えるパール絵具です。
前回もご紹介しましたが、これはやっぱりすごく魅力的✨
こんな絵具たちです!
正面から見た時と、角度を変えた時で、色彩が変化します。
この絵具を初めて知った時は、その変化に感動しました、、、!写真よりも肉眼で見た方が変化が感じられるので、実際にその目で変化を楽しんでいただきたい絵具です🎨
ちなみに、この特徴を使って、ぼくはこんな作品を描いています💎
正面からと角度を変えた時で2つの表情を楽しめる宝石作品です。角度を変えた時に色がグラデーションに変化するように考えて描いています🌈(なかなか大変ですが、すごい達成感です!)
補足:色が変わる系の絵具は、他メーカーだと
・アクリルガッシュのジャパネスクカラー「玉虫色」
・ゴールデンアクリリックスの「インタフェレンスカラー」などがあります。
3. どんな使い方ができる?
筆塗り
筆で細かい部分に輝きを追加したり、全体に塗ることで画面に均一なきらめきを表現できます。
(使用:ペベオ ステューディオ イリデセントバイオレットブルー)
パール絵具は色が薄いものが多いので、濃い色で表現したい場合は2度塗り以上がおすすめです。重ねる回数で、パールの密度が変わって、きらめきも変化します!
ナイフ塗り
ペインティングナイフを使って塗るのもおすすめです。
厚塗りなので、その分パール粒子がぎゅっと詰まった、力強いきらめきを表現できます✨
(使用:アムステルダム メタリックグリーン)
アップにすると、パールがぎっしり詰まっているのが感じられます。
強くきらめくので、かなりの存在感!
エアブラシ
均一で滑らかな仕上がりを実現したいなら試して欲しいのがエアブラシ!
下の図のような画材で、空気を使って絵具やインクを細かい霧状にして吹き付ける道具です。プラモデルなどによく使用されますが、絵画にも使っている方は多いです。
エアブラシでパール絵具を吹きかけると、粒子が均一に画面に定着するので、ムラなく美しいキラキラ感を表現することができます!
(画像では、ホルベインイリデッセンス クロマパールバイオレットを吹きつけました。)
ご自宅で使う場合は、設備費用や設置場所、コンプレッサ(空気を送る機械)の音が大きいなど、日常的に使うには難しいですが、エアブラシにしかできない表現が存在します。
こんなことができるんだ!と知識として心に留めておいていただけたら、いつの日か役に立つ日が来るかもしれません✨
4. 自分だけのパールカラーを作ってみよう!
パールカラーの魅力はこれだけじゃありません!単体でも十分美しい絵具ですが、混ぜ合わせることで、オリジナルパールカラーを作ることだってできるのです。ここでは自分が行なっている混色方法を2パターンご紹介します。
パールカラー同士の混色
一つ目はパールカラー同士の混色です。複数のパール絵具を混ぜることで、オリジナルの輝きをもつ色を作れます。
下記ではゴールドとピンクを合わせることで「ピンクゴールド」を作ってみました。
※知っておこう!※
他社メーカーの絵具を混色することはメーカー的には推奨していません。そのため、混色の時は、基本的には同じメーカーの絵具を混ぜて色を作るのが安全です。(パールに限らず。) ただ、絵を描いていると色々なメーカーの絵具を混色したい場面は必ずと言っていいほど出てきます。併用する場合は、少量で試し塗りを行い、時間が経過してもヒビやシワ、剥離などの問題がないかを確認してから使うことをお勧めします。大切な作品を守ることにつながりますよ! |
パール+透明色
2つ目は透明色と混ぜること。パールカラーは透明色と相性がいいです。混ぜることで鮮やかさを保ちつつ、さまざまな色彩のオリジナルパールカラーを作ることができます。
こちらの例では、パールホワイトにフタロブルーという透明性の高い青を混ぜ合わせることで、パールきらめく青色を混色しました。
これはほんの一例ですが、求めている微妙な色彩も、市販の色を混ぜ合わせることで作れることが多いです。
ぜひ、色々と混ぜ合わせて、求めている色を作ってみてください!
⚠️注意点⚠️
不透明色とパールカラーは混ぜないようにしましょう!不透明色を混ぜるとパール特有の輝きが失われてしまいます。あえて半光沢のように使いたい場合は、ほんのちょっとだけ混ぜると効果的です。
【学びの補足】
絵具のチューブには透明度表記が記載されています。(図はメーカーによって異なります)それぞれの特徴や得意なことを知っておくと、制作の役に立ちますよ!▼
作品に、「きらめき」をプラス
いかがでしたか?
今回は、「パール絵具」についてご紹介いたしました。
自分の大好きなパールカラーの魅力や使い方が少しでも伝わって、興味をもっていただけたら嬉しいです。
パール絵具の魅力は、絵具の色や質感に「きらめき」をプラスできること。
使い方を学んでいけば、光沢やきらめきだって、かなり自由に変えられる。個人的に、使えば使うほど可能性を感じる絵具だと感じています。
今まで使ったことがなかった!という方も、この記事をきっかけに、「試してみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
素敵な制作ライフを!
画家
TAKUYA YONEZAWA
◆プロフィール
TAKUYA YONEZAWA
北海道在住。毎年50作品以上の絵画作品を制作し、美術館や国内外のギャラリーなどで発表している。SNSでの発信に力を入れ、作品や制作過程、創作のヒントなどを発信。Xは@takuyanokaiga。
◆使っている主な画材
・アクリル絵具 アムステルダム レギュラータイプ ロイヤルターレンス
・アクリル絵具 アムステルダム パールシリーズ ロイヤルターレンス
・ペインティングナイフ リキテックス バニーコルアート
・ペンディングナイフ ロイヤルターレンス