YOMU to KAKU マガジンvol.01 2024年8月10日
「アナログならではの画材!ペインティングナイフの魅力と使い方」
絵具をチューブから出した時の、鮮やかでキラキラした美しさを、そのままキャンバスの上で表現できたら、楽しいと思いませんか?
そんな絵具の魅力を、思いっきり引き出したい時に使ってみてほしい画材があります。
それが
「ペインティングナイフ」
こんにちは!
画家のTAKUYA YONEZAWAです。
YOMUtoKAKUマガジン、第二回は
アナログならではの画材「ペインティングナイフ」
をテーマにお話しします
今回も、画材の説明はもちろん
実際に作品を描き進めながら、使い方のポイントをなるべくわかりやすく言葉にしていきます。
ぜひ、自分で描いている気持ちになって
お読みいただけたら嬉しいです✨
◆ペインティングナイフってなに?
まずはじめに、ペインティングナイフとは・・・
こんな画材です!
絵を描くときや、パレット上で色を混ぜるときなどに活用します。
(第一回でも使いましたね!)
こんな感じでケーキに生クリームを塗るような感じで使います。
筆にはない表現ができる、アナログならではの画材です!
ペインティングナイフを効果的に使用することで、作品にさまざまな表情をつけることができ
それが作品の「おもしろさ」につながります。
使いこなすと
本当に活躍の場が多い画材なのです✨
そんなペインティングナイフ
先端の形によって、種類もたくさん!
ぼくが持っているだけでも、これくらいあります。
画材大好きなぼくは、眺めているだけでワクワクしてきます 笑
ブレードにもいろいろ種類があって、それぞれ得意な表現が違います。
初めて買うなら、汎用性が高い①のスタンダードタイプがおすすめです。
素材は、鉄・ステンレス・プラスチックなどがありますが、アクリル絵具に使うなら、錆びにくいステンレス製が扱いやすいです。
大きさも、さまざま。
はじめはブレードの部分の長さが5cmくらいのものが使いやすいと思います。
◆ナイフで描く魅力とは?
ぼくがペインティングナイフに魅力を感じるポイントは
絵具の「物質感」を伝えられる画材だということです。
絵具にはデジタルにはない「厚み」がある。
それが、アナログ絵画の大きな魅力であり
その魅力を引き出してくれる画材が
ペインティングナイフだと思うのです!
◆実際に描いてみよう!
今回は、そんな、ペインティングナイフを使って絵を描いていきます✨
実際に制作しているつもりで、読み進めてみてください😊
使用する画材はこちら!
作品は、前回と同じく、小さめサイズのF0号に描きます。
画材は、少なくとも絵具と紙パレット
そしてペインティングナイフがあれば描けます!
今回描くのは。。。「海」!
海は、昔からさまざまな作品に採用されてきたモチーフです。
海には決まった形がないので、想像を膨らませながら描いていける自由度の高いモチーフでもあります。
今回は夕暮れ時のマジックアワーと呼ばれる時間帯を描いてみたいと思います。
参考画像も用意しました。
筆者撮影なので、自由に使っていただいてOKです!
でも、あくまでも、参考程度に!
写真に忠実に描く、というよりは自分が想像する海のイメージをキャンバスに閉じ込めるつもりで描いた方が、きっと素敵な作品ができます。
それでは、一緒に描いていきましょう!
鉛筆であたりをつける
描く前に、鉛筆で当たりをつけておくと安心です。
マスキング
海と空の境界線をバシッと決めたいので、マスキングをします。
マスキングテープは、色をはっきりと分けることができるので
境界をはっきりさせたい時におすすめのアイテムです!
こんな感じで、鉛筆に合わせて貼りました。
絵具を出す&色をつくる
次にパレットに色を準備します。
今回はウルトラマリンブルーとコバルトブルーの2色の青をメインで使います。
あとは、モチーフとは関係ないけど好きな色、使いたい色も使っちゃいましょう!
テンションが上がるし、差し色でいいスパイスになってくれるかも!
事前に使いたい色を作っておくのもおすすめです!
特に、メインで使う色は「明るい」「中間」「暗い」の3段階を作っておくと、全体の色調が崩れにくくなります。
今回は、海と空で使用する「青」を3段階作りました。
夕暮れ時の淡いオレンジとクリーム色も用意しておきます。
これで準備が整いました!
今回は空→波の順番で描いていきます。
こんな感じで、ナイフを持って
1色目、、えいっ!!
真っ白なキャンバスに、絵具を塗っていくのって、ワクワクしますよね!
さらに、空を塗り広げます。
ケーキ作りの仕上げで、生クリームを整えるようなイメージでやってみましょう✨
長く大切に使うために
ここで、お手入れの方法をご紹介。
ナイフを使ったら、毎回必ずティッシュ等で拭き取ってあげてください🎨
もし、ナイフについたまま乾いてしまったら、水でふやかしながらスポンジでこすって取りましょう。
画材は、絵描きの相棒です。
丁寧にお手入れをして、長く大切に使い続けたいものです✨
それでは、制作の続きです!
画面上で色を混ぜてみよう!
空は夕焼けのグラデーションになっているので、画面上で色を混ぜ合わせながら盛っていきます。
偶然できる絵具の模様も楽しみながら、やってみてください✨
盛って、盛って、マステを剥がして…
空ができました✨(いい感じ!)
いよいよ海です!
水平線は、ナイフの直線部分で描くと表現しやすいです。
空と同じくマスキングしてもいいのですが、海は、フリーハンドで決めます。
大胆さと同じくらい、慎重に描く緊張感も大切。
作者の緊張感は、絵を見る人にも伝わると思っています。
海は、穏やかだったり、荒々しかったり、いろんな表情がありますよね。
そんな海の表情を、ナイフで描いていきます。
波のようにカーブさせて描いたり、盛り上げたり、引っ掻いてみたり。
自分なりの海のイメージを描いていきましょう。
ぼくは、遠くは静かに、近くは少し波立つように描き進めます。
うまくいかなくても大丈夫
ナイフで削り取って、もう一度やってみましょう!
自分のために描く作品ですから
楽しく、気持ちよく描くことを優先してください
絵具は乾燥しますが、別の日に描くのもありですね✨
繊細な表現は筆に頼ってOK
ペインティングナイフは、大胆な表現は得意だけど繊細な表現は苦手です。
なので、「ここは細かく描きたい!」という部分は、筆で描きましょう。
今回は、細かな影ときらめくハイライトの部分を筆に頼りました。
と、そんなこんなで、、、完成ーーー!!!
◆飾ってみよう!
完成したら飾ってあげましょう!
▲正面から
▲少し斜めから
ペインティングナイフならではの盛り上がりも、お気に入り✨
まだ途中だよ!という方も、できれば飾ってあげましょう
飾ってある作品が、日々完成に近づいていく姿って、作者しか見られない贅沢な景色だと思います。
自分の描いた作品で空間が彩られるというのは、想像以上に素敵な体験ですよ!
ぜひ、みなさんに味わっていただきたいなぁ。
◆おわりに
いかがでしたか?
今回はペインティングナイフの魅力を画材愛たっぷりにお届けしました✨
実は、この記事のために2枚海を描いているのです🌊
最後までお読みいただいたお礼に、こちらも公開いたします😁
▲初めは、オレンジ色が強いですね!
▲次は少しピンクを入れて、海の色を鮮やかにしようと思って描きました。
ペインティングナイフって、使いこなせば本当にさまざまな表現ができる画材です。
記事をお読みいただき、「面白そう!やってみたい!」と思っていただけたら嬉しいです🎨
皆さんも、使ってみてください!
それでは、素敵な制作ライフを!
画家
TAKUYA YONEZAWA
◆プロフィール
TAKUYA YONEZAWA
北海道在住。毎年50作品以上の絵画作品を制作し、美術館や国内外のギャラリーなどで発表している。SNSでの発信に力を入れ、作品や制作過程、創作のヒントなどを発信。Xは@takuyanokaiga。
◆使っている主な画材
・アクリル絵具 アムステルダム レギュラータイプ ロイヤルターレンス
・アクリル絵具 アムステルダム パールシリーズ ロイヤルターレンス
・ペインティングナイフ リキテックス バニーコルアート
・ペンディングナイフ ロイヤルターレンス