画人画廊・on line vol.07 artist「数佳」2023年12月29日
「額装も作品の一部。インテリアとしてお部屋に合うものを」水彩画家・数佳さん
人物や植物をモチーフにコミックイラストを描く水彩画家・数佳(かずか)さん。
作品の背景に様々なストーリーを想起させますが、見た人に「こう思ってほしい」といった願いやテーマはありません。
※数佳さんの愛用の画材達。使い込んだパレットはもはや「アート」ですね
「見た人が心地よく思ってくれれば、それでいい。楽しい絵と見るのか、やさしい絵、悲しい絵と見るのかは、見てくださる方にゆだねようと思います」
作品に関する解説もしない。それが数佳さんのスタイルです。
※水彩絵の具の透明感がとても素敵な作風の数佳さん
〝フレーマーさん〟と考える額装
展示会を中心に活動している数佳さんは、以前から「額装」にこだわりがあります。
作品展での「見え方」を考えてインターネットでフレームなどを購入し、自身で額装していましたが、コロナ禍で状況が一変。
展示会をオンラインで行うようになり、画面を通して作品を見てもらったり、販売する作品を写真に撮ってネットにアップしたりするようになったため、「より魅力的にみせる方法」を探したといいます。
そこで頼りにしたのが、カワチ画材心斎橋店で額装を担当するスタッフ(フレーマー)でした。
「プロのフレーマーさんに任せたところ、1枚のイラストに対していろんな色を合わせ、30分ほど相談しながら進めました。コミックアートにも理解があるスタッフさんでとても勉強になり、納得して選べました」
※カワチ画材店ではフレーマーとお客様とで作品に合わせてフレームやマット(装飾と作品の保存を兼ねた台紙)を相談しながら決めていきます
額装をプロと考えた作品は展示会でも来場者の反応がよく、「額装込みで気に入って買いました」「額装のおかげで家の雰囲気がよくなった」という感想もあったそうです。
以来、展示会の際はフレーマーのアドバイスを元に額装を選んでいます。
※額縁と作品の色がリンクすると額縁が作品を引き立て一体感がでます
展示会場では目立ちたい。でも…
フレーマーに依頼する際は一貫して、「買ってくださる方のおうちに合うようにしてほしい」とリクエストしています。
「インテリアとして扱ってほしい」という思いから、たとえ作品には重厚な額装が合ったとしても、部屋に溶け込むものでなかった場合は別のものを選択するそうです。
もちろん、展示会に来る人々の部屋がどんな雰囲気なのか、数佳さんには分かりません。
ですが、来場者と話したり、作品を購入してくれた人のSNSを見たりすることで、なんとなくイメージはできてきたといいます。
「額装は作品の一部で、額縁によって作品が締まることもあります。展示会場では目立ちたいのですが、買ってくださった方のお部屋では目立ち過ぎず、額装を含めお部屋に合うような作品を考えています」
※数佳さんがいろいろな雰囲気をイメージしながら完成した額装された作品達。素敵です。
「続けていれば結果は出る」
高校時代から造形や油絵、版画など美術を学んでいた数佳さんですが、コンテストで受賞する同級生たちと比較し、劣等感を抱く日々でした。
「周りは美大を目指すのが当たり前というストイックな人たち。その中にぽつんと入ってしまい、発想力や知識量が全然違うと感じていました」と振り返ります。
「技術的には勝てないから、色彩の勉強やデッサンの基礎をやろう」と、得意分野を伸ばしていったそうです。
現在、水彩絵の具でコミックイラストを描く数佳さんですが、本格的に始めたのは専門学生の頃。日本画や油絵などほかの分野へは劣等感が強く、描いたことはなかったものの、アニメが好きだったこともあってコミックイラストコースを選びました。
卒業後すぐには美術関係の仕事に就きませんでしたが、「続けていれば結果は出る」とSNSやHPでイラストを発信しました。
その後、母校の専門学校で講師を始めたことをきっかけに展示活動に力を入れました。現在は、高校でイラストの授業を担当する非常勤講師も務めています。
活動の幅を広げてきた数佳さん。「今後もチャンスがあればいろいろ挑戦したい」と話しています。
※このイラストが・・・
※かわいいグッズになりました
※クリエイターグッズやミニ色紙サイズの原画はファンにとってもとてもうれしいアイテム。
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◆プロフィール
数佳さん:大阪府在住の水彩画家。展示会・原画販売・講師・メイキングで活動中。花・植物が好きで、植物に囲まれた場所で展示会をすることが目標。趣味は植物観賞・ドリンク作り・花を買うこと・ゲーム・辞書や図鑑を見ること。
◆使っている主な画材
・ダ ヴィンチ画筆 Liner brush 5519
・ウィンザー&ニュートン プロフェッショナル水彩紙
・ホルベイン 透明水彩絵具
・ウィンザー&ニュートン プロフェッショナル ウォーターカラー
・ホルベイン 小部屋が取り外せる水彩パレット
・呉竹 ZIG CARTOONIST 白筆ぺん 超極細
・あかしや 極細毛筆「彩」ThinLINE
・KOKUYO PS-PE103 鉛筆シャープ 0.3mm
・Blackwing Pearl
◆ライタープロフィール
河原夏季
朝日新聞withnews編集部の記者・編集者。
SNSで話題になっていることや子育て関連を中心に執筆。
1986年新潟県佐渡島に生まれ、中学時代は美術部。2児の母。
クリエイターさんたちの人生や作品へ込める思いを取材していきたいです。