画人画廊・on line vol.01 artist「NEKO KEN」2023年6月27日
「目の色を見てほしい」 ネコの切り絵を作る小学生クリエイターKENさん
オレンジ色の顔、青と黄緑色の体、ピンクと黄色の目ーー。
2021年2月、独特の色使いでセンスの光るネコの切り絵が、Twitterで多くの反響を呼びました。
作者は当時小学1年生のKENさん。以来、切り絵クリエイターとして多くの作品を作り続けています。独特のセンスを持つKENさんとサポートする母親のなみそさんに、切り絵を始めたきっかけや原動力、将来の夢を聞きました。
親も驚く世界観
KENさんがクリエイター活動を始めたきっかけは、なみそさんがTwitterに投稿した1枚の切り絵です。初めての切り絵作品にもかかわらず、大人顔負けの感性に驚きや称賛のコメントが数多く寄せられました。
なみそさんも息子の作品を見たとき、大きな衝撃を受けたと話します。
「モデルは茶色いネコだったのに、オレンジや青を使ってしっかりと自分の世界ができあがっていたんです。目に見えるものと感じるものが違う、型にとらわれない色使いが私の琴線に触れました」
Twitterで作品を見た人からは、「グッズにしてほしい」とたくさんのリクエストがありました。その後、カワチでグッズを製作販売することになり、「KEKOKEN」のブランドでマグカップやポストカード、アートフレームなど多くのアイテムを展開しています。
切り絵を始めたきっかけは
0歳の頃から水彩絵の具を手に塗って紙にペタペタしたり、色紙をぐしゃぐしゃに丸めて紙に貼ったり、工作が得意だったKENさん。
切り絵を始めたのは、小学1年生の3学期です。色紙を使って工作を楽しむ中で、「余った紙や失敗した紙を捨てるのはもったいないから、再利用しよう!」と、なみそさんが提案したといいます。
「最初はちぎり絵に挑戦してみたのですが、2、3時間やるときもあれば1時間で飽きてしまうときもあって、KENにはハマらなかったようです」
切り絵を始めてみたところ、KENさんと相性がぴったり。「ちぎり絵よりダイナミックに作れて完成図を思い描きやすいからか、夢中になってやっていました。集中力が桁違い」となみそさんは振り返ります。
切り絵作品のモチーフはすべてネコ。KENさんが生まれたときから家にはネコがいて、大好きな存在です。今も4匹のネコに囲まれて生活し、毎日ネコを描いているといいます。
「目の色を見て」
KENさんが作品の中で一番お客さんに見てもらいたいところは、「目の色」です。「好きな部分だから」こそのこだわりが宿り、作品によっては左右で色が違うことも珍しくありません。
なみそさんによると、制作時は目から切り始めることが多く、「一番表現しやすくて好きな部分」なのだそうです。
アニメやゲームが好きなKENさんは、その時々でハマっている作品から影響を受けることもあります。
「『鬼滅の刃』が流行っていたときには、(主人公の)炭治郎みたいに黒と緑色を使った作品を作っていました。好きなポケモンの色を参考にしていたこともあります」となみそさんはいいます。
制作の原動力となっているのは、「好き」という気持ちです。
例えばシャインマスカットや筋トレは、KENさんが好きなことだからこそ、大好きなネコと一緒にデザインに採り入れています。
「したい」や「食べたい」という気持ちが後押しになっていることも多く、今後キャンプの作品も作りたいと考えているそうです。
小学生クリエイターが描く将来の夢は…
クリエイターとして活躍するKENさんですが、今後は海外を目指すなど作家としての道を極めていくのでしょうか?
将来の夢を尋ねると、「切り絵……じゃない、マッチョ!」とすかさず訂正。
筋トレが趣味とはいえ、なぜマッチョ?
KENさんはひじを曲げて力こぶを出すしぐさをしながら、「お母さんを守りたいから」と教えてくれました。最終的には「握力1000」を目指すそうです。
数年後、デザインナイフを何本も折ってしまうマッチョの切り絵作家が誕生するかもしれません。
ーーーーーーーーーーーーーー
◆プロフィール
KENさん:2013年5月、福岡県生まれの小学4年生。「NEKOKEN」の小学生クリエイター。母親の勧めで小学1年生の頃から切り絵を始める。趣味は筋トレ。
◆使っている主な画材
・デザインナイフ HA30 コクヨ(フォロワーさんからのプレゼント)※現在は廃番
・色画用紙 50色 オキナ株式会社
・セフティベース KDS-H ムラテックKDS
・油性マーカー ハイマッキー ゼブラ
NEKOKENグッズはこちらからお求め頂けます
・do Art WEB shop
・SUZURI artman gallery
◆ライタープロフィール
河原夏季
朝日新聞withnews編集部の記者・編集者。
SNSで話題になっていることや子育て関連を中心に執筆。
1986年新潟県佐渡島に生まれ、中学時代は美術部。2児の母。
クリエイターさんたちの人生や作品へ込める思いを取材していきたいです。
Twitter https://twitter.com/n_kawahara725
クリエイターに関するお問い合わせ・お仕事のご依頼は下記のフォームよりお問い合わせください。